民数記9-11 ; マルコ5:1-20

民数記

第9章

9:1エジプトの国を出た次の年の正月、主はシナイの荒野でモーセに言われた、9:2「イスラエルの人々に、過越の祭を定めの時に行わせなさい。9:3この月の十四日の夕暮、定めの時に、それを行わなければならない。あなたがたは、そのすべての定めと、そのすべてのおきてにしたがって、それを行わなければならない」。9:4そこでモーセがイスラエルの人々に、過越の祭を行わなければならないと言ったので、9:5彼らは正月の十四日の夕暮、シナイの荒野で過越の祭を行った。すなわち、イスラエルの人々は、すべて主がモーセに命じられたようにおこなった。9:6ところが人の死体に触れて身を汚したために、その日に過越の祭を行うことのできない人々があって、その日モーセとアロンの前にきて、9:7その人々は彼に言った、「わたしたちは人の死体に触れて身を汚しましたが、なぜその定めの時に、イスラエルの人々と共に、主に供え物をささげることができないのですか」。9:8モーセは彼らに言った、「しばらく待て。主があなたがたについて、どう仰せになるかを聞こう」。
9:9主はモーセに言われた、9:10「イスラエルの人々に言いなさい、『あなたがたのうち、また、あなたがたの子孫のうち、死体に触れて身を汚した人も、遠い旅路にある人も、なお、過越の祭を主に対して行うことができるであろう。9:11すなわち、二月の十四日の夕暮、それを行い、種入れぬパンと苦菜を添えて、それを食べなければならない。9:12これを少しでも朝まで残しておいてはならない。またその骨は一本でも折ってはならない。過越の祭のすべての定めにしたがってこれを行わなければならない。9:13しかし、その身は清く、旅に出てもいないのに、過越の祭を行わないときは、その人は民のうちから断たれるであろう。このような人は、定めの時に主の供え物をささげないゆえ、その罪を負わなければならない。9:14もし他国の人が、あなたがたのうちに寄留していて、主に対して過越の祭を行おうとするならば、過越の祭の定めにより、そのおきてにしたがって、これを行わなければならない。あなたがたは他国の人にも、自国の人にも、同一の定めを用いなければならない』」。
9:15幕屋を建てた日に、雲は幕屋をおおった。すれはすなわち、あかしの幕屋であって、夕には、幕屋の上に、雲は火のように見えて、朝にまで及んだ。9:16常にそうであって、昼は雲がそれをおおい、夜は火のように見えた。9:17雲が幕屋を離れてのぼる時は、イスラエルの人々は、ただちに道に進んだ。また雲がとどまる所に、イスラエルの人々は宿営した。9:18すなわち、イスラエルの人々は、主の命によって道に進み、主の命によって宿営し、幕屋の上に雲がとどまっている間は、宿営していた。9:19幕屋の上に、日久しく雲のとどまる時は、イスラエルの人々は主の言いつけを守って、道に進まなかった。9:20また幕屋の上に、雲のとどまる日の少ない時もあったが、彼らは、ただ主の命にしたがって宿営し、主の命にしたがって、道に進んだ。9:21また雲は夕から朝まで、とどまることもあったが、朝になって、雲がのぼる時は、彼らは道に進んだ。また昼でも夜でも、雲がのぼる時は、彼らは道に進んだ。9:22ふつかでも、一か月でも、あるいはそれ以上でも、幕屋の上に、雲がとどまっている間は、イスラエルの人々は宿営していて、道に進まなかったが、それがのぼると道に進んだ。9:23すなわち、彼らは主の命にしたがって宿営し、主の命にしたがって道に進み、モーセによって、主が命じられたとおりに、主の言いつけを守った。

第10章

10:1主はモーセに言われた、10:2「銀のラッパを二本つくりなさい。すなわち、打物造りとし、それで会衆を呼び集め、また宿営を進ませなさい。10:3この二つを吹くときは、全会衆が会見の幕屋の入口に、あなたの所に集まってこなければならない。10:4もしその一つだけを吹くときは、イスラエルの氏族の長であるつかさたちが、あなたの所に集まってこなければならない。10:5またあなたがたが警報を吹き鳴らす時は、東の方の宿営が、道に進まなければならない。10:6二度目の警報を吹き鳴らす時は、南の方の宿営が、道に進まなければならない。すべて道に進む時は、警報を吹き鳴らさなければならない。10:7また会衆を集める時にも、ラッパを吹き鳴らすが、警報は吹き鳴らしてはならない。10:8アロンの子である祭司たちが、ラッパを吹かなければならない。これはあなたがたが、代々ながく守るべき定めとしなければならない。10:9また、あなたがたの国で、あなたがたをしえたげるあだとの戦いに出る時は、ラッパをもって、警報を吹き鳴らさなければならない。そうするならば、あなたがたは、あなたがたの神、主に覚えられて、あなたがたの敵から救われるであろう。10:10また、あなたがたの喜びの日、あなたがたの祝いの時、および月々の第一日には、あなたがたの燔祭と酬恩祭の犠牲をささげるに当って、ラッパを吹き鳴らさなければならない。そうするならば、あなたがたの神は、それによって、あなたがたを覚えられるであろう。わたしはあなたがたの神、主である」。
10:11第二年の二月二十日に、雲があかしの幕屋を離れてのぼったので、10:12イスラエルの人々は、シナイの荒野を出て、その旅路に進んだが、パランの荒野に至って、雲はとどまった。10:13こうして彼らは、主がモーセによって、命じられたところにしたがって、道に進むことを始めた。10:14先頭には、ユダの子たちの宿営の旗が、その部隊を従えて進んだ。ユダの部隊の長はアミナダブの子ナション、10:15イッサカルの子たちの部族の部隊の長はツアルの子ネタニエル、10:16ゼブルンの子たちの部族の部隊の長はヘロンの子エリアブであった。
10:17そして幕屋は取りくずされ、ゲルションの子たち、およびメラリの子たちは幕屋を運び進んだ。10:18次にルベンの宿営の旗が、その部隊を従えて進んだ。ルベンの部隊の長はシデウルの子エリヅル、10:19シメオンの子たちの部族の部隊の長はツリシャダイの子シルミエル、10:20ガドの子たちの部族の部隊の長はデウエルの子エリアサフであった。
10:21そしてコハテびとは聖なる物を運び進んだ。これが着くまでに、人々は幕屋を建て終るのである。10:22次にエフライムの子たちの宿営の旗が、その部隊を従えて進んだ。エフライムの部隊の長はアミホデの子エリシャマ、10:23マナセの子たちの部族の部隊の長はパダヅルの子ガマリエル、10:24ベニヤミンの子たちの部族の部隊の長はギデオニの子アビダンであった。
10:25次にダンの子たちの宿営の旗が、その部隊を従えて進んだ。この部隊はすべての宿営のしんがりであった。ダンの部隊の長はアミシャダイの子アヒエゼル、10:26アセルの子たちの部族の部隊の長はオクランの子パギエル、10:27ナフタリの子たちの部族の部隊の長はエナンの子アヒラであった。10:28イスラエルの人々が、その道に進む時は、このように、その部隊に従って進んだ。
10:29さて、モーセは、妻の父、ミデヤンびとリウエルの子ホバブに言った、「わたしたちは、かつて主がおまえたちに与えると約束された所に向かって進んでいます。あなたも一緒においでください。あなたが幸福になられるようにいたしましょう。主がイスラエルに幸福を約束されたのですから」。10:30彼はモーセに言った、「わたしは行きません。わたしは国に帰って、親族のもとに行きます」。10:31モーセはまた言った、「どうかわたしたちを見捨てないでください。あなたは、わたしたちが荒野のどこに宿営すべきかを御存じですから、わたしたちの目となってください。10:32もしあなたが一緒においでくださるなら、主がわたしたちに賜わる幸福をあなたにも及ぼしましょう」。
10:33こうして彼らは主の山を去って、三日の行程を進んだ。主の契約の箱は、その三日の行程の間、彼らに先立って行き、彼らのために休む所を尋ねもとめた。10:34彼らが宿営を出て、道に進むとき、昼は主の雲が彼らの上にあった。
10:35契約の箱の進むときモーセは言った、
「主よ、立ちあがってください。
あなたの敵は打ち散らされ、
あなたを憎む者どもは、
あなたの前から逃げ去りますように」。10:36またそのとどまるとき、彼は言った、
「主よ、帰ってきてください、
イスラエルのちよろずの人に」。

第11章

11:1さて、民は災難に会っている人のように、主の耳につぶやいた。主はこれを聞いて怒りを発せられ、主の火が彼らのうちに燃えあがって、宿営の端を焼いた。11:2そこで民はモーセにむかって叫んだ。モーセが主に祈ったので、その火はしずまった。11:3主の火が彼らのうちに燃えあがったことによって、その所の名はタベラと呼ばれた。
11:4また彼らのうちにいた多くの寄り集まりびとは欲心を起し、イスラエルの人々もまた再び泣いて言った、「ああ、肉が食べたい。11:5われわれは思い起すが、エジプトでは、ただで、魚を食べた。きゅうりも、すいかも、にらも、たまねぎも、そして、にんにくも。11:6しかし、いま、われわれの精根は尽きた。われわれの目の前には、このマナのほか何もない」。
11:7マナは、こえんどろの実のようで、色はブドラクの色のようであった。11:8民は歩きまわって、これを集め、ひきうすでひき、または、うすでつき、かまで煮て、これをもちとした。その味は油菓子の味のようであった。11:9夜、宿営の露がおりるとき、マナはそれと共に降った。
11:10モーセは、民が家ごとに、おのおのその天幕の入口で泣くのを聞いた。そこで主は激しく怒られ、またモーセは不快に思った。11:11そして、モーセは主に言った、「あなたはなぜ、しもべに悪い仕打ちをされるのですか。どうしてわたしはあなたの前に恵みを得ないで、このすべての民の重荷を負わされるのですか。11:12わたしがこのすべての民を、はらんだのですか。わたしがこれを生んだのですか。そうではないのに、あなたはなぜわたしに『養い親が乳児を抱くように、彼らをふところに抱いて、あなたが彼らの先祖たちに誓われた地に行け』と言われるのですか。11:13わたしはどこから肉を獲て、このすべての民に与えることができましょうか。彼らは泣いて、『肉を食べさせよ』とわたしに言っているのです。11:14わたしひとりでは、このすべての民を負うことができません。それはわたしには重過ぎます。11:15もしわたしがあなたの前に恵みを得ますならば、わたしにこのような仕打ちをされるよりは、むしろ、ひと思いに殺し、このうえ苦しみに会わせないでください」。
11:16主はモーセに言われた、「イスラエルの長老たちのうち、民の長老となり、つかさとなるべきことを、あなたが知っている者七十人をわたしのもとに集め、会見の幕屋に連れてきて、そこにあなたと共に立たせなさい。11:17わたしは下って、その所で、あなたと語り、またわたしはあなたの上にある霊を、彼らにも分け与えるであろう。彼らはあなたと共に、民の重荷を負い、あなたが、ただひとりで、それを負うことのないようにするであろう。11:18あなたはまた民に言いなさい、『あなたがたは身を清めて、あすを待ちなさい。あなたがたは肉を食べることができるであろう。あなたがたが泣いて主の耳に、わたしたちは肉が食べたい。エジプトにいた時は良かったと言ったからである。それゆえ、主はあなたがたに肉を与えて食べさせられるであろう。11:19あなたがたがそれを食べるのは、一日や二日や五日や十日や二十日ではなく、11:20一か月に及び、ついにあなたがたの鼻から出るようになり、あなたがたは、それに飽き果てるであろう。それはあなたがたのうちにおられる主を軽んじて、その前に泣き、なぜ、わたしたちはエジプトから出てきたのだろうと言ったからである』」。11:21モーセは言った、「わたしと共におる民は徒歩の男子だけでも六十万です。ところがあなたは、『わたしは彼らに肉を与えて一か月のあいだ食べさせよう』と言われます。11:22羊と牛の群れを彼らのためにほふって、彼らを飽きさせるというのですか。海のすべての魚を彼らのために集めて、彼らを飽きさせるというのですか」。11:23主はモーセに言われた、「主の手は短かろうか。あなたは、いま、わたしの言葉の成るかどうかを見るであろう」。
11:24この時モーセは出て、主の言葉を民に告げ、民の長老たち七十人を集めて、幕屋の周囲に立たせた。11:25主は雲のうちにあって下り、モーセと語られ、モーセの上にある霊を、その七十人の長老たちにも分け与えられた。その霊が彼らの上にとどまった時、彼らは預言した。ただし、その後は重ねて預言しなかった。
11:26その時ふたりの者が、宿営にとどまっていたが、ひとりの名はエルダデと言い、ひとりの名はメダデといった。彼らの上にも霊がとどまった。彼らは名をしるされた者であったが、幕屋に行かなかったので、宿営のうちで預言した。11:27時にひとりの若者が走ってきて、モーセに告げて言った、「エルダデとメダデとが宿営のうちで預言しています」。11:28若い時からモーセの従者であったヌンの子ヨシュアは答えて言った、「わが主、モーセよ、彼らをさし止めてください」。11:29モーセは彼に言った、「あなたは、わたしのためを思って、ねたみを起しているのか。主の民がみな預言者となり、主がその霊を彼らに与えられることは、願わしいことだ」。11:30こうしてモーセはイスラエルの長老たちと共に、宿営に引きあげた。
11:31さて、主のもとから風が起り、海の向こうから、うずらを運んできて、これを宿営の近くに落した。その落ちた範囲は、宿営の周囲で、こちら側も、おおよそ一日の行程、あちら側も、おおよそ一日の行程、地面から高さおおよそ二キュビトであった。11:32そこで民は立ち上がってその日は終日、その夜は終夜、またその次の日も終日、うずらを集めたが、集める事の最も少ない者も、十ホメルほど集めた。彼らはみな、それを宿営の周囲に広げておいた。11:33その肉がなお、彼らの歯の間にあって食べつくさないうちに、主は民にむかって怒りを発し、主は非常に激しい疫病をもって民を撃たれた。11:34これによって、その所の名はキブロテ・ハッタワと呼ばれた。欲心を起した民を、そこに埋めたからである。11:35キブロテ・ハッタワから、民はハゼロテに進み、ハゼロテにとどまった。


マルコ

第5章

5:1こうして彼らは海の向こう岸、ゲラサ人の地に着いた。5:2それから、イエスが舟からあがられるとすぐに、けがれた霊につかれた人が墓場から出てきて、イエスに出会った。5:3この人は墓場をすみかとしており、もはやだれも、鎖でさえも彼をつなぎとめて置けなかった。5:4彼はたびたび足かせや鎖でつながれたが、鎖を引きちぎり、足かせを砕くので、だれも彼を押えつけることができなかったからである。5:5そして、夜昼たえまなく墓場や山で叫びつづけて、石で自分のからだを傷つけていた。5:6ところが、この人がイエスを遠くから見て、走り寄って拝し、5:7大声で叫んで言った、「いと高き神の子イエスよ、あなたはわたしとなんの係わりがあるのです。神に誓ってお願いします。どうぞ、わたしを苦しめないでください」。5:8それは、イエスが、「けがれた霊よ、この人から出て行け」と言われたからである。5:9また彼に、「なんという名前か」と尋ねられると、「レギオンと言います。大ぜいなのですから」と答えた。5:10そして、自分たちをこの土地から追い出さないようにと、しきりに願いつづけた。5:11さて、そこの山の中腹に、豚の大群が飼ってあった。5:12霊はイエスに願って言った、「わたしどもを、豚にはいらせてください。その中へ送ってください」。5:13イエスがお許しになったので、けがれた霊どもは出て行って、豚の中へはいり込んだ。すると、その群れは二千匹ばかりであったが、がけから海へなだれを打って駆け下り、海の中でおぼれ死んでしまった。5:14豚を飼う者たちが逃げ出して、町や村にふれまわったので、人々は何事が起ったのかと見にきた。5:15そして、イエスのところにきて、悪霊につかれた人が着物を着て、正気になってすわっており、それがレギオンを宿していた者であるのを見て、恐れた。5:16また、それを見た人たちは、悪霊につかれた人の身に起った事と豚のこととを、彼らに話して聞かせた。5:17そこで、人々はイエスに、この地方から出て行っていただきたいと、頼みはじめた。5:18イエスが舟に乗ろうとされると、悪霊につかれていた人がお供をしたいと願い出た。5:19しかし、イエスはお許しにならないで、彼に言われた、「あなたの家族のもとに帰って、主がどんなに大きなことをしてくださったか、またどんなにあわれんでくださったか、それを知らせなさい」。5:20そこで、彼は立ち去り、そして自分にイエスがしてくださったことを、ことごとくデカポリスの地方に言いひろめ出したので、人々はみな驚き怪しんだ。


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